短編物語 『おじいちゃん』

こんにちは。
恰好良い大人になりたくて
管理人のポンペイです。

 

短編物語 『おじいちゃん』

 

梅雨真っただ中の吉祥寺。

 

その日の吉祥寺は梅雨とは思えないほどの快晴で、気温も低く心地の良い日でした。

 

私はスポーツクラブでのアルバイトに向かう為、自転車で吉祥寺を訪れましたが、平日にも関わらずいつも止めている駐輪場は満車でした。

 

天気良いもんな・・

 

そう思った私は他の駐輪場へと急ぎました。

 

もし、そこも満車だったら遅刻してしまうかも・・

 

そんなことを頭によぎらせながら、到着すると、こういう時に限って、満車。

 

あっ、ヤバい・・

ここがダメなのは遅刻かも・・

 

そう思いはしたものの私は時間に余裕を持って行動するタイプです。

早めに誰かが出てくれれば間に合うので、待つことにしました。

 

前には既に待っている人が一人、私の後ろにも、一人おじさんが付けました。

 

すると、間も無くしてヨボヨボのおじいちゃんが来ました。

 

イメージは競馬場とかにいそうなキャップかぶったおじいちゃん。

 

ゆっくりゆっくり、これまた年季の入った自転車を転がして出庫ゲートまで来ると、、

 

 

一言

 

 

「お兄ちゃん、待たせたね!入って良いよ!!」

 

 

 

「・・・。」

 

 

 

ピッ

 

 

 

「・・・。」

 

 

 

私の前に並んでいた方はおじいちゃんの言葉がけを無視して入庫してしまいました。

 

 

おじいちゃんは、一瞬驚いたような素振りを見せ、自転車を漕ぎ始める前にもう一度振り返り、寂しそうな表情を見せました。

 

 

おじいちゃん、、、

 

 

私はボーッとその何でもない日常の光景を眺めていました。

 

 

おじいちゃん、、、

 

 

お兄ちゃんじゃなくて、お姉ちゃんだよ。

 

 

私の前に並んでいた人はショートカットでちょっぴりボーイッシュだったけど、

 

女性だったんだよ

 

 

もし、おじいちゃんの問いかけに答えていたら、「えっ!女?!」っておじいちゃん、ビックリしてたかも。

 

バツの悪そうにお姉ちゃんって言い直していたかも

 

それを察して、声を発する事なく入庫して行ったのかも

 

そんな素敵な物語だったらいいな

多分、違うけど。

 

おしまい。

 

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